GISおよびIT/ICT技術に関して、4DGIS Labが独自で研究した事案やサポートさせていただいた研究の成果等をご紹介いたします。
災害関連オープンデータの作成と視覚化 2021
~令和3年8月11日からの大雨 被害情報のビジュアライズ~
災害時における被災地への情報支援を目的として2019年5月24日に結成されたN2EM(National Network for Emergency Mapping)では、災害対応に必要な情報を収集・集約し、広域的かつ統一的なオープンデータの作成を行っています。
4DGISLabはN2EMの一員として、令和3年8月11日からの大雨で発生した豪雨災害に起因する住家被害データを収集・集約しました。N2EMホームページからオープンデータとして公開されている「住家被害CSV」を基に、4DGISLabがWEBマップとして編集・加工・視覚化しています。
マップ 『令和3年8月11日からの大雨 被災住家状況』 | |
地図内の行政ポリゴンは、人口当たりの被災住家合計によるグラデーション表示を設定しています。 画像をクリックすると地図が開くので、以下の操作を試してみてください。 地図ブロック(左側) ・行政ポリゴン(面)をクリックで選択 → 一覧表内の対応する属性がハイライト表示 (マウスホイールによる拡大縮小 & 左上のコントロールから地図検索が可能です) 一覧表ブロック(右側) ・都道府県名や市区町村名をクリックで選択 → 地図内の行政ポリゴン(面)を拡大表示 (項目にマウスオーバーすると、対応する情報がポップアップ表示されます(一覧表内のみ)) |
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作業期間 | |
オープンデータ作成 : 2021年8月15日 ~ 2023年1月10日 被災住家マップ作成 : 2021年8月17日 ~ 2023年1月10日 |
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作業環境 | |
データ入力 :Googleスプレッドシート データ編集 :QGIS 3.16.8 データ視覚化 :Tableau Desktop 2021.2 |
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データソース | |
図形データ:行政区域データ(市区町村ポリゴン) 形式:SHP 更新:2021年1月1日 出典:国土交通省国土数値情報 属性データ:住家被害データ 形式:CSV(utf-8) 更新:2021年8月15日より随時 出典:N2EM(N2EMと連携し、関係機関発表の被害情報を入力) |
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キーワード | |
・災害発生時におけるデータ収集および数値化 ・統一フォーマットでのオープンデータ化 ・オープンデータのGIS WEBマップ化 & 適時更新 ・リモート環境における関係機関との連携作業 |
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作業概要 ~災害概要とN2EM作業について~ | |
【災害の概要】 梅雨末期に近い気圧配置になった2021年8月、活発な前線の影響によって特に九州北部地方は11日からの降水量が1000mmを超え、全国各地で記録的な大雨による河川氾濫などが発生しました。 被災地への情報支援を目的とするボランティア組織“N2EM”では、住家被害情報を収集して統一的なフォーマットに集約し、オープンデータとして公開しました。 【住家被害】 住家被害の発生した19県について、各災害対策本部から発表される住家被害に関する情報を収集・集約しました。 関東1県:千葉県 中部3県:長野県・岐阜県・愛知県 関西4県:三重県・滋賀県・京都府・和歌山県 中国4県:島根県・岡山県・広島県・山口県 四国1県:愛媛県 九州6県:福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・鹿児島県 【N2EM作業】 4DGISLabはN2EMのメンバーと連携して、8月15日から情報収集とGoogleスプレッドシートへの被災データの入力を行いました。 前回2020年の作業事例を踏襲しつつ、以下に留意しながらリモート環境における相互連携作業を進めました。 ・作業分担領域の共通認識 ・SNS等を活用した情報共有(着手及び完了報告・疑義解消等) 【オープンデータ公開】 入力されたGoogleスプレッドシートを基に、N2EMホームページから各県における市区町村ごとの住家被害情報がオープンデータ(CSV utf-8形式)として公開されています。 また、N2EMがオープンデータとして公開している住家被害情報については、防災科研 防災クロスビューにおいて地図上に視覚化されています。 |
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作業概要 ~令和3年8月11日からの大雨 被災住家状況について~ | |
N2EMから公開された住家被害オープンデータ(CSV utf-8形式)を、4DGISLabが以下のコンセプトに基づいて編集・加工して、WEBマップ上に視覚化しました。 ・データ構成および情報刷新 ・データ更新作業の省力化 ・マップ視覚化の閾値見直し 【データ構成および情報刷新】 前回2020年の作業事例を踏襲しながら、“データ更新作業の省力化”および“被災行政増加時の編集作業簡略化”を目的にして、以下の3データでの構成へシステムを変更しました。 この3データを再作成して刷新し、視覚化ツール“Tableau”内で市区町村コードをキーに結合させています。 1. 住家被害オープンデータ(※ 随時更新) 2. 市区町村ポリゴン(令和3年1月時点) 3. 市区町村ごと想定人口(令和3年7月時点) 【データ更新作業の省力化】 前回2020年の作業事例では、Googleスプレッドシートでの共同作業を念頭に置いて工程を構成していました。 今回作業においては前年作業から2工程を削除し、実際の更新作業において必要となる部分のみの工程となるように省力化を図りました。 工程1:CSV(utf-8)ダウンロード 工程2:Excelデータ取込み&結合 ※2021年に工程削除 工程3:Googleスプレッドシート更新 ※2021年に工程削除 工程4:Tableauデータ読込み&アップロード 【マップ視覚化の閾値見直し】 小さな町の大きな被害を見落としてはならない…と考えます。 このため、4DGISLabで作成するWEBマップは住家被害総数による着色ではなく、以下の計算式で算出する独自の被災指数で着色分けしています。 被災指数 = 被災住家合計 ÷ 人口 × 100 前年2020年の作業事例と相互確認しながらカラーパレットを調整し、令和2年7月豪雨 住家被害状況マップについても同様の調整を行って再掲載しました。 【追記】 2021年8月15日(令和3年)から、各都道府県によって発表される被害報の入力・視覚化を行ってきました。 本災害で特に被害が甚大だった佐賀県から、2022年11月30日付で床上浸水が1件追加(罹災証明の追加発交付)されましたが、これを最後の発表と捉え、2023年1月10日をもってデータ更新を完了することとしました。 |
【コンセプト】|
出典 | |
以下の原典データに対して、4DGISLabが編集・加工を行っています。 ・「国土数値情報(行政区域データ)」(国土交通省) ・「N2EMオープンデータ(住家被害)」 (N2EM) |
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参考情報 | |
この取組みに関連する情報は、以下からご確認いただけます。 ・2020年7月14日公開『事例04a_災害データ視覚化 2020』 ・2021年8月18日公開『令和3年8月11日からの大雨 その1』 ・2021年9月01日公開『令和3年8月11日からの大雨 その2』 |